6月 2019

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すすめる愛。

気になった本を買いたいという衝動は日々起きても全部購入していたら生活していけないので、もともと買おうと決めていたもの以外は図書館で探してみることが多い。 特に本屋で新作のコーナーを見ているとアドレナリンが出て大変なことになるし、人の評価や口コミに惑わされたくない、のっかりたくないという捻くれた性格なのもあり、とりあえず予約だけして大量の数の順番待ちをして忘れたころに読んだりすることが多いのだけど、それは「今この本を読め」というお告げっぽくてちょっと楽しかったりもする。 図書館から順番が来たというメールが入った。『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』だった。 『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』 すごかった。もっとふざけた本だと思ってたのに、超大作ノンフィクション!著者の花田菜々子さん自身の人生が蘇生していく過程に、その飾らない、柔らかくも強さのある文体にやられてしまった。 まだそこに載せられた本は読んでいないけれど、この本で人に本をすすめる過程を読んだだけで自分が悩んでることとか、いろんなことが解かれるような感覚があった。 そのひとつを挙げると、近年、生ぬるい世間話にうずうず(というかぞわぞわ?)することにそして周囲の人がそうならないことに気づく場面が多く、とはいえ面白いと思わないものを面白いと思うようになるのは難しくて、ある種の職業病ってことで諦めていたんだけど、 花田さんが苦手に思った人のエピソードや、人と話すことへの変化を読んで、こう思ってる人もやっぱりいて、それって悪くない、楽しいことなんだなと花田さんから見える世界を通じて勇気付けられた。これはほんの一部で、なにかに閉塞感を感じているひとはとにかく読んでみてほしい! 読み終わって、人になにかをすすめたり、すすめられたりする機会ってとても多いけどそれを届けたり受けとったりって実はすごく難しいということを改めて振り返った。 信頼してて、自分のことを理解してくれているからこそすすめてくれていることはわかっていても、そのときの自分や、自分とその相手の関係性で手がのびなかったり、余計なお世話みたいに思えて受け流したりすることもある。 逆に私がその人のことを想ってなにかをすすめて実際に読んだり観てくれたりしたらすごく嬉しいけど、そうしてくれないと勝手だけどちょっとムカついてしまったり。 でもあとから、その作品、いや、その作品を通じてその人自身に向き合うことができたときに、新たな発見があって、その人が自分のことをどう想っていてくれたかということ自体にも出会えたりする。 最後に花田さんが書いていたけれど、自分が撮ったもの、書いたもの、小さくても大きくても、それがそんな媒介する存在として生きていたらそれってすごいことだな。 Sufjan Stevensの"Carrie & ...
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