3月25日に公開した
『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』
※以下ネタバレあり
監督:マイウェン(元女優でリュック・ベッソンの元妻!)
第68回カンヌ国際映画祭女優賞受賞。『ベティ・ブルー 愛と激情の日々』から30年、 大人になったすべての女性たちに贈る――運命の再会を果たし、激しい恋に落ちた男と女の10年間の物語
雪山から物語は始まる。弁護士のトニー(エマニュエル・ベルコ)がスキーで怪我をし、そのリハビリの過程の中で10年前を振り返る。
弟(ルイ・ガレル)カップルと共に訪れたクラブで、かつて憧れを抱いていたジョルジオ(ヴァンサン・カッセル)と再会。二人はすぐに恋に落ちる。プレイボーイのジョルジオにトニーは不安を抱くが、トニーはジョルジオの不安を取り除くように全身で愛を伝える。「君の子供が欲しい」というジョルジオ。トニーは男児を妊娠し、二人はささやかな結婚式を挙げ幸福に包まれる。しかしそんな幸福な日々は長くは続かなかった。メンヘラの元カノのもとへ通ったり、勝手に自分用に近くのマンションを借りたり、浮気をしたり、悪気もないジョルジオにトニーは次第に疲弊し、怒りが爆発する。自殺未遂にまで至った彼女はジョルジオとの別れを決意するが、彼は逆上し脅迫までする。別れても別れても、苦しみ悶えながら二人は何度も引き寄せ合う。
傷を癒しながら激動の10年間を振り返るトニー。
思い出しながらあらすじを書いたので、順序間違っててもご勘弁を!
とにかくダメ男なジョルジオ。
それは登場シーンからすでにプンプン匂ってるんだけど、それでも抗えない魅力、色気があって、これはもう破滅しても好きになるしかない……!と思うくらいのいい男。
イケメン、金持ち、高身長、料理上手、、ととにかく全部兼ねそろえてます。
トニーも彼がモテるのはわかるから心配になったり、若くもなくそれほど美人でもない自分と彼の周りの女性を比べてしまったりするけど、彼はすぐにオフィシャルに彼女を人に紹介したり、「君は他の女とはちがう」と言ってくれたり……次第に彼の誠実な愛を信じるトニー。
わかるよ、、、信じちゃうよね、こんな行動してくれたらさ。
弟のソラルは初めから、調子の良いジョルジオを好きになれなくてストッパーの役目を果たしてるんだけど、こんなシチュエーションのときだいたいその予見をしてくれるのは身近にいる男友達だったりすることが多い気がします。
彼女が始めは彼に強く言えずどんどん蓄積してって爆発しちゃったり、限界をこえて薬にどっぷりはまってしまったり、自殺未遂したり、裏切られたり、恫喝されたり、、、
印象的だったのが、トニーの目がまるで怪物でも見ているかのように、ジョルジオを見つめるシーン。
「……このひとなに言ってるの?」って自分の範疇をはるかに超える言動をしてくるとき、相手がまるで異世界のもののように見える瞬間を経験したことがあるので、共感とともにその演出に惹きつけられた。
そんな目に遭ってまで、愛する小さな息子までいるのに、なぜ彼女はドラッグ中毒の彼を断ち切ることができないのか。
バカじゃないの?と思う人もたくさんいるでしょう。
ふたりは、ふたりの形、方法で運命共同体として結び合っていて、周囲からは異常に見えてもその渦中にいた頃のふたりは、ある意味で幸せだったんだろうなと私は思う。健康的ではないけれど。離れても求め合い、傷つけあい、それでも惹きつけあう。
彼女たちはあの後どうなるんだろう。最後にはふたりはまた一緒になるんじゃないかと、私は想像した。
タイトルの”Mon Roi”は「私の王様」という意味らしいです。
(王様のような関係性とは感じなかったけど)
リハビリのシーンはうまく作用してるのかやや疑問に感じたけれど、前半の弟カップル(弟役のルイ・ガレルのお父さんはフィリップ・ガレル!)との小気味よい会話もよかったし、撮影、美術、衣装等も個人的に好きだったけど、主演二人の芝居がこの作品のすべてといってもいいくらい素晴らしかったです。
フレンチラブストーリーを観たい人、ヴァンサン・カッセルの色気に溺れたい人、ダメ男に一度でも恋したことがある女性!
ぜひ観てみてください。
もうすぐ終わっちゃうのでおはやめに!
それにしても、ヨーロッパ映画でのモザイク本当やめてほしい。
逆にいやらしくなっちゃって、せっかくの美しいシーンが台無しだった。
おわり